仙台の晩翠通りというところに、Q s loftという雑貨屋さんがあったことはご存知だろうか?

とても素敵なお店で、20年くらい前からあった。その店が2020年の春にそのお店が閉店することとなった。

いつもある、と思っていた。なにせ20年もあった雑貨屋である。時々ふらりとよって、レジの前で雑談したりするのがとても楽しいお店だった。

その店が出来たころ、僕は東京から仙台に戻ってきたばかりの頃だった。若気のいたりもあってか、その雑貨屋に知り合いもいないのに「僕のCDを置いてくれませんか?」と初対面でお店の方に頼んだ。すると、思いもかけない言葉が返ってきた。

「いいですよ」

あの時のいいですよの言葉は、夏に最初に聞いた風鈴のように、なんだかいつも思い出すたびに新鮮なのである。

レコード店にCDが並ぶときの喜びとはまた違う、なんだかそのお店がすこし大げさにいえば僕を家族にしてくれたような喜びがあった。見ず知らずの僕のCDをそのお店では繰り返しかけてくれた。そして、近くでライブがあると足を運んでくれて、ライブをとても喜んでくれた。いまはそんな幻想はかなり少なくなったと思うが、当時は東京に上京して音楽をやるのがかっこいいというような時代でもあり、3年ほど東京で活動して仙台にもどって、故郷に帰ってきたばかりです、という僕はなんだかとても心細かった。あまり知り合いのいないイベントに出演したりすると、知らないお客さんがたくさんいる。そんな中、Q s loftの方が見に来てくれた時はなんだか寒い冬にポトフが届いたような暖かさで、本当に嬉しくなるのであった。

お店のレジの前で雑談をしているときに、ハワイの人間国宝のお弟子さんと知り合ったり、雑貨屋を通じて、かけがえのない出会いが広がったりもした。

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この雑貨屋の中には夢がいっぱいあった。

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ロンドンのパンクムーブメントも、洋服屋だか雑貨屋だかに集っていた若者たちが出会って生まれたとも聞く。

そうしたことが起きるミラクルが、この店にもあった。その後ハワイの人間国宝の方のCDを作る機会にもつながったのだ。なにがどこに引き寄せられるかは、わからない。

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Q s loftがなければ、この本を読んで涙を流すことなどなかっただろう。Q s loftさん、約20年の間、ありがとうございました。僕の周囲の人たちも、お店を始めたばかりのときにQ s loftさんがご飯をたべに来てくれたとか、なんだか家族のように思っている人たちがたくさんいます。

Q s loftさんのお店はなくなっても、心の中にはずっとあるお店なのです。そこに集われる方たちも、心の中ではデビッドボウイの映画のように誰も歳をとらないかもしれません。

Q s loftさん、ありがとうございました。

ラリー船長